熊本地震が発生し、いちはやく支援の声をあげたのは台湾でした。
台湾の馬英九(ばえいきゅう)政権は1,000万円の支援を表明。
その後、16日の本震が発生し、国内からの「少な過ぎる」との指摘を受けるかたちで寄付金を6,400万円にまで増額しました。
また、柯文哲(かぶんてつ)台北市長も自身のツイッターアカウントを通して日本語で声明を発表。
このたびの #熊本 県地方の地震により被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、早期の復旧をお祈りいたします。ここに、お亡くなりになられました方々に対し、台北市民とともに衷心より哀悼の意を表し、謹んでご冥福をお祈り申しあげます。 @TwitterGovJP
— Ko Wen-Je 柯文哲 (@KP_Taipei) 2016年4月15日
東日本大震災の際にも台湾は200億円という巨額の寄付金で支援してくれました。
こうした手厚い支援には、日台が相互に支援をしあってきた背景があります。
近年の例では、1995年:阪神淡路大震災⇨ 1999年:台湾大地震⇨ 2011年:東日本大震災⇨ 2015年:八仙水上楽園(ハッセンすいじょうらくえん)爆発事故⇨ 2016年2月:台湾南部地震(台湾赤十字に100万ドル規模の支援)と支援の応酬が続いていました。
フィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界にある台湾は、日本と同様に地震大国であり、不幸中の幸いにもこうした関係が続いています。
なぜ、友好関係が続く?日台の歴史
かつて台湾が日本に統治されていた植民地時代、日本は台湾の水の礎を築いた功績を残しています。
水のインフラのない台湾に対して、日本人が最初にしたことはダムの建設。※鳥山頭(うさんとう)ダム
人が生きるためにも、作物を育てるためにも必要不可欠な水のために、大きな投資と建設を行い、それが今日に至るまでの台湾の水を支えています。
この全長1万9,000km以上(ほぼ地球半周)にものぼる灌漑水路と排水路を整備し、ダムをつくりあげた八田興一は「台湾農業の父・ダムの父」と呼ばれ、今でも神様レベルで感謝されている日本人として知られています。
台湾の誰もが知る一方で、日本ではあまり知られていない英雄です。
こうした尽力に対する台湾の先人たちの感謝の思いは「飲水思源」(水を飲む際、その源を思う)という今でも台湾の人々が大切に使う言葉に受け継がれています。
その他、台湾に尽くした義愛公こと森川清治郎や飛虎将軍こと杉浦茂峰といった指導者が台湾にもたらした貢献に、台湾人の日本への思い入れが根付いているのではないでしょうか。
交流はキャラクター、エンタメ、スポーツにも・・
台湾の黒熊マスコットがくまモンを助けるイラスト
こちらは「くまモン Kumamon 熊本熊 Kawaii」Facebookページに掲載されたイラスト。
くまモンと台湾の観光マスコット「Oh! Bear」の相互支援の友情を描いたイラストが日台のネットユーザーの共感を呼びました。
※くまモンは台北にカフェをオープンするなどのPR活動を通じて台湾の人々からも人気があります
エンタメ
台湾では日本のテレビ番組が人気で字幕付きの番組がほぼリアルタイムで流れています。
とくに、NHK「朝の連続テレビ小説」の出演者は人気が高いそう。
また、最近ではEXILE AKIRAさんが出演した映画「GTO TAIWAN」や、台湾で大ヒットした「KANO 1931海の向こうの甲子園」(永瀬正敏さん&大沢たかおさん出演)など、日本俳優の台湾エンタメへの進出が進んでいます。
出典:映画.com
スポーツ
スポーツの側面から日本と台湾の交流をみると、野球が真っ先にあがります。
野球は台湾の国技でもあり、紙幣に少年野球の絵柄が採用されるほど。
台湾籍の王貞治さんをはじめ、かつて中日で活躍した郭選手や大豊選手、現在も活躍する陽兄弟(兄:福岡ソフトバンクホークス 弟:北海道日本ハムファイターズ)など、日本でも活躍する台湾人選手は多いです。
とくに、WBCでの熱戦の最中に東京ドームで自然発生したウェーブが印象に残っている方も多いのではないでしょうか。
※前述の「KANO」も日本人監督が指揮し、台湾チームを当時の甲子園に導いた野球をテーマにした映画です。
これらの歴史や交流を振り返ると、支援と感謝や感動の連鎖で、良い関係を築いてきた両国は、一心同体の関係であることを改めて感じます。