はじめに
可能は証明できるが、不可能は証明できない。大平貴之さんの口癖だ。小学生でプラネタリウムの自作を始め、日本大学在学中にアマチュアでは不可能といわれたレンズ投影式の「アストロライナー」を開発。1998年には投影星数170万個の「MEGASTAR」で世界の度肝を抜き、2004年には日本科学未来館と投影星数560万個の「MEGASTAR-II Cosmos」を完成させてギネスブックに載った。2011年にはエストニアで360度全天球プラネタリウムを設置。2012年にはまったく新しい投影方式の「MEGASTAR-III Fusion」をかわさき宙と緑の科学館で公開したばかり。開発と投影活動に明け暮れ、ありえないほど美しいあの星空を、今日も誰かに届けている（Youtubeより）。
要約・紹介文
現在ロシアでプラネタリウムの展示をしているからと、ロシア語の挨拶で始まったスピーチ。
「英語はしゃべれないから日本語で（笑）」と、大平氏のお茶目な人柄がうかがえる。
星の数ほどという表現。星の数は何個か？
渋谷で見える星は１０個から２０個。１等星がかろうじてみえる。横浜は数百個。山奥、富士山では６０００個から９０００個。今までのプラネタリウムで見れる星の数がそのくらいだそうだ。だからそれで十分だといわれていた。
しかし、大平氏ののプラネタリウムで見られる星の数は実に２５００万個。
宇宙にはそれだけたくさんの星がある。いや、もっとたくさんの星がある。ではなぜ大平氏は、そんなプラネタリウムを作ったか？
小学校４年生のときには、工作は好きだったけれど、成績は悪く、いじめられていたという。そんな大平氏がプラネタリウムに興味を持ったときの動機は、実に単純なものだった。
「女の子にモテたい」
その後、試行錯誤を重ねて作ったプラネタリウム装置は、ことごとく失敗した。
でも彼は、高校生のときにオーストラリアで天の川をみた光の帯を再現したかった。
そして失敗を重ねたのちに完成したメガスター。
これでやっとオーストラリアの星空を再現できた。
しかし、メガスターは完成しても、女の子にモテたいという思いは叶ったわけではなさそうだ。
新しいものを作り世の中に見せ、
フィードバックが帰ってくることで新しい文化が創れると語る大平氏。
「女の子にモテたい」
小学校４年生の頃の大平氏の夢の形は、のちに形を変えて大きな夢へと変わっていった。
ユーモアをまじえて語る大平氏の夢に挑戦する大切さは、
心にすっと届くメッセージだ。
誰もが夢に挑戦することで、多くのひとにハッピーをもたらすことができるかもしれない。
編集者：rinarain