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自分たちの手で街を守って何が悪い?警察の存在を脅かすメキシコ・ゲレロ州の自警団

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概要

2013年1月5日、ゲレロ州でエル・ポトレロ市長が誘拐された。ゲレロ州はメキシコで2番目に貧しく、誘拐や殺人件数が最も多い地域として知られているが、この事件は特別だった。というのも市長は、ゲレロ州のコスタチカ地域一帯の治安を守るために結成された自警組織UPOEG (ゲレロ州連合)に所属しており、自警団の登場によって活動しにくくなった犯罪集団が「警告のため」に誘拐したというからだ。

これを受けて、UPOEGは交通の要所に検問所を設置し、武装して夜回りを始めた。誘拐事件の犯人54人を突き止めた後、自分たちで法廷を開き、家屋を改造した仮設の「刑務所」に犯人を収容した。市長が解放された後も検問と夜回りは続けられ、これに触発されたゲレロ州の他地域で、自警団が次々に結成された。VICEはゲレロ州を訪れ一連の動きを追った。

自警団をめぐる賛否

争点(1)地域を治める権利
ゲレロ州元知事アンヘル・アギレ氏(※3)は当初、自警団の活動を応援していたが、2月になると「彼らに自治権はない」として、誘拐事件の犯人の引渡しを要求。自警団は州警察に犯人を引き渡したが、銃を下ろすことはなく活動を続けている。先住民族の多く住む地域オアハカ出身で、こうした市民の活動を長年見守ってきた法律家フランシスコ・ロペス・バルセナス氏は、今回ゲレロ州で結成されたような自警団の正当性ついて疑問を呈している。「メキシコ憲法では、確かに先住民による自治は認められている。それは元々共同体の中に、警察の役割を担う組織を持っていたからだ。ゲレロ州は違う。」

争点(2)統制の難しさ
国家や警察といった既存の行政組織に頼らない姿勢は勇ましい。一方、共通了解したルールが存在していないことから、様々な問題も発生している。2013年2月3日には、メキシコシティからゲレロ州のプラヤ・ヴェンチュラに向かっていた2人の観光客が、検問所で停止しなかったため、自警団の攻撃を受け病院に運ばれるといった事件が起きた。UPOEGの代表者は「これは観光客のミスだ。素通りしたのが悪い。」と述べている。

争点(3)「美しいと思わないか?」
ゲレロ州のアユトラ市長セヴェロ・カストロ・ゴメス氏に自警団の活動について尋ねたところ、こんな回答が返ってきた。「美しいと思わないか? 人々が自分たちの街を自分たちの手で守ろうとしているんだ。」他の意見と比べると、なんとも平和的な発言だ。

争点(4)政治力を付けるための手段?
ゲレロ州では、1995年に自警組織CRAC(地域発展推進公社)が結成され、犯罪者の更生などを行ってきた。しかしCRACの力だけで治安を改善するのは難しく、UPOEGが登場したとも言われている。CRAC創設者であり、UPOEGの組織化を手がけたのは、ブルーノ・プラシード・ヴァレリロ氏だ。パブロはゲレロ州にある82地区の内、40地区で自警団の組織化を手助けした。

「お互いのことをよく知っているから、迅速にかつ効率よく物事が進められる。背後で麻薬組織とつながっているわけでもないし、政治的なアジェンダがあるわけでもない。政府にも認めて欲しいけど、僕たちが目指すのは地域に平和と安全をもたらすことだからね。」

「自分たちで法廷を作っちゃいけないなんて、知らなかったんだ」

2014年9月26日に起きた「メキシコ学生失踪事件」(※1)以来、国内では政府に対する反発が強まっている。今年11月には、メキシコシティのソカロ中央広場(※2)でエンリケ大統領の退陣を求めたデモが発生した。

治安悪化の背景には、麻薬組織間の縄張り争いがあるという。巻き込まれたらかなり危険だろうが、市民たちは自分たちの街を守るために必死だ。日本では警察も法律も政府も、今あるものをそのまま受け入れているが、元来は常に更新可能なもののはずだ。「法廷を作っちゃいけないなんて知らなかった」という言葉に、なんだかはっとさせられた。
VICEより)

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